3-6. テンションコードを使ってみよう!
ここまでは、四和音のコードと、その転回形について、かんたんに触れてきました。次はいよいよテンションコードの登場です。
スケールの9番目、11番目、13番目の音をテンションノートと呼ぶのですが、そのノートが入ったコードをテンションコードと呼びます。

テンションコードって難しそうだけど、どんなときに使うの?

トップノートで遊びたいときに便利だピ。覚えてなくてもOKだピ。

覚えなくていい?トップノートで遊ぶって?

ボイシングの一番高い音を、「固定したり」「少しずつ動かしたり」すると、自然とテンションコードが生まれるピ。最初はそんな捉え方でOKだピ!
サンプル
まずは、テンションが入っていないコード進行のピアノ伴奏と、入っているピアノ伴奏を聴き比べてみましょう。
テンションの入ってないコード進行
テンションの入っているコード進行
テンションコードが入ることによって、一気にサウンドが複雑になり、オシャレな感じに聞こえます。
難しそうな進行ではありますが、代表的なところではaikoの「ボーイフレンド」のサビ(1m40s〜)でも使用されています。
ボーイフレンドのキーはGで、[ Am9 – D7(b13) – G9 – E7 ]という進行で、Cのキーに直すと先ほどの[ Dm9 – G7(b13) – CM9 – A7 ]と同じ進行になります。
他にもいくつか例を見てみましょう。
「CM7-Am7-Dm7-G7」でテンションコード
ルートの度数をとって「1625(イチロクニーゴー)」とも言われる、ポップスの王道進行です。今回はこのコード進行をもとに、テンションコードを作ってみましょう。
まずはトップノートをミで固定した例から。

Dm7の部分では「ミ」が9thになり、G7の部分では13thになっています。トップノートで遊ぶとテンションコードができる、というのはこういうことです。
(また、Am9の部分では右手の形をCM7から保持することで、「シ」の音が9thのテンションとなっています。)
トップノートを固定するとテンションが生まれておしゃれな響きになり、かつ手の動きも最小限になります。
次はトップノートを「レ」に固定してみましょう。これも楽譜を眺めてみると、右手はほとんど動いていません。

さきほどより少し複雑なテンションコードが生まれました。
Wham!の『Last Christmas』も上記の例にやや近い [ CM9 – Am11 – Dm9 – FM7/G ] (Cメジャーキーで表記) な進行で、前半はレの音、後半はミの音をトップノートで効果的に使っています。
次に「ソ」と「レ」を固定してみますが、今度はフレーズの動きでテンションに挑戦です。

右手は「ソシドレ」をばらして弾いてみました。こんな単純なことでも、ベースの動きによって豊かなテンションの響きが生まれています。
最後に、「トップノートで遊ぶ」を突き詰めた、ちょっとやりすぎなパターンもご紹介します。

トップノートの動きは「レ→レ♯→ミ→ミ♭→」です。これでまた頭のCM9に戻っても、トップノートは半音で動き続けます。
あまりここまで極端な例は見られませんが、ポップスでの使用例としては、YUKIの『スタンドアップ!シスター』のBメロ(35s〜42s)に登場する [ Am7(b5) – D7(#11) – D7 – Gm7 ] という動きの中で半音上昇のメロディーが使われています。
この章のまとめ

テンションの使い方わかったけど、これっていつでも使っていいの?

響きのバランスの問題だピ。もともと7thコードの多いオシャレな曲には使っても違和感ないけど、トライアドのコードが中心のシンプルな楽曲には不向きだピ。テンションを使えそうな曲ではまずトップノートを意識して遊んでみるといいピ。
CHECK
- テンションコードは9th、11th、13thの入ったコード
- トップノートを固定したり、少しずつ動かしたりしてみよう