7-1. かっこいいピアノソロパートを作る7つのアイディア
マスタークラスへようこそ!ここではより発展的なピアノ伴奏の作り方を、コラム的に取り上げていきたいと思います。
・・・と書きつつも、最初にとりあげるのはソロパートです。ということで、ピアノが主役になったフレーズの作り方を見てみましょう。
まずはこちらの楽曲をお聴きください。2:51あたりから、16小節のピアノソロパートが始まります。
このソロパートは4小節ごとに違うアプローチで作っています。順番に見ていきましょう。
ピアノソロの作り方(1)トレモロ奏法でかき鳴らす
まずは1〜4小節目。ここはオクターブの音をトレモロで派手に鳴らしながら、音が次第に上昇していきます。
トレモロには正確に分割するという意味もありますが、ここではただ単に「細かく刻む」ことを意識しています。
また、その音に入る前にちょっとした前打音でひっかかりをつくっています。この音は半音下でもいいし、スケールに沿った音でもいいです。
ミスタッチはあえてそのまま残してあります。ベロシティの弱いミスタッチがあることで、ちょっと生っぽさが出ています。
ピアノソロの作り方(2)拍ずらしと7thフォール
今度は全体的に音を下げるフレーズです。山があれば谷があるフレーズを作りましょう。
前半2小節は、拍をあえて感じさせない、いやらしいリズムでソロを作りました。そもそもこのフレーズは16分音符11個分のかたまりになっていて、拍に合わせること無くそれを繰り返します。かなり技巧っぽいですが、実際に弾くのはけっこう簡単です。2小節は16分音符32個分の長さなので、11個分+11個分+10個分で、最後は丸く収めます。
楽譜で書くと初見では演奏できそうにないリズム(キーはCメジャーに直してあります)。
次も何やら難しそうな、細かい音が出てきますが、これもめちゃくちゃ簡単です(特にCメジャーの場合)。まず、Am7(ラ・ド・ミ・ソ)の指の形を作って、小指で最高音を鳴らします(ここに力を入れる)。他の3本の指はおまけ程度にピロリ、と順番に素早く弾きます。一つ弾いたら指の形はそのままに平行移動して、Em7を作り、同じように演奏。以下同文です。
これもまたピアノソロのお決まりフレーズパターンです。耳コピしようとすると鬼のように早くて難しいのですが、原理としては簡単な弾き方なんです。
ピアノソロの弾き方(3)オクターブ奏法でリズミカルに
続いて9〜12小節目。あがってさがって、と来たら今度はフレーズをとどめてみましょう。ということで、メロディーではなくリズムで遊びます。他に変わったところはありませんが、前述の前打音や、ミスタッチもありますね。
タンタンタン、タラッタッタタッタ、というちょっと陽気なラテン風のリズムを用いてみました。
ピアノソロの弾き方(4)対斜を使ってみよう
続いて13〜16小節目。あがってさがって平坦に、と来たら今度は上がったり下がったりしてるのに一定というフレーズを作ります。百聞は一見にしかず。
これも本当によくあるピアノのしゃれたフレーズです。一つの塊が16分音符6個分のフレーズを繰り返しているので、前述の「拍ずらし」も同時に用いています。
一定の音はそのキーの主音、動かす音はそのキーの3度、4度、♭5度、5度の音。♭3度の音を織り交ぜることも多いです。
最後はシンプルに、歌へバトンタッチする<ソロの終わりを感じさせる>フレーズで終了。
まとめ
- トレモロ奏法:細かく刻む。正確さより勢いが大事。
- 前打音:入れるとピアノっぽくてオシャレ。やり過ぎはくどい。
- 拍ずらし:拍子に合わないフレーズを強引に繰り返す。
- 7thフォール:指の形を一定にして、平行移動する。簡単なのに技巧っぽく聞こえる。
- オクターブ奏法:音が華やかになる。ソロで使いがち。音が上下しないときはリズムでも遊ぼう。
- ブルーノート:記事では触れてないけど、♭3、♭5、♭7の音のこと。ジャジーな感じが出る。
- ミスタッチ:できればないに越したことはない。